夢泥棒と黄金伝説/関田涙

夢泥棒と黄金伝説 マジカルストーンを探せ! Part3 (講談社青い鳥文庫)

夢泥棒と黄金伝説 マジカルストーンを探せ! Part3 (講談社青い鳥文庫)

  ★★★★★
 関田涙さんの児童書です。マジカルストーンを探せ!の Part3になります。
 シリーズ物だと、好みの登場人物も決まってきて、その子が活躍してくれないとガッカリするなんてことがよくあるのですが、関田さんの児童書は毎回、子供から大人までいろんなタイプの人物が出てくるので、そのたびごとにお気に入りの子が入れかわったりして、飽きることがありません。主役の日向と月乃はもちろんのこと、今回も、ナイスバディの(とは一言も書いてない)「マントの前は全開にはだけていて、なんとその下には黒い革の水着みたいなものしかつけてなかった」(おそらく作者の趣味だと思われる)「メラメラと燃えるような」赤い髪の毛をしている夢の世界の住人が出てきたりするもんだから、ひええ、と嬉しくなってしまいました。怪盗ヴォックスの一番弟子だと威張っていましたが、残念なことにプロローグで退場してしまっていました。イラストまで載せてあるくらいだから、きっと作者のお気に入りだと思います。次回はもう少し出てくれるんじゃないでしょうか。他にも、とても愛らしいタヌキの赤ちゃんが出てきたり、金髪のカワイコちゃんが出てきたりと、ずいぶん楽しませてもらいました。
 さて、なぜタヌキなんて出てきたかといえば、4つ目のマジカルストーン「金の石」が、「黄金のタヌキ像」のデベソにくっついていたからです。今までにも、マジカルストーンを巡って、全国あちこちと出かけて行きましたが、今回は日向の母親の郷里にある狸弁寺へと向かいます。予知夢で絶体絶命に陥った日向は、それを避けるために三日以内に「金の石」を手に入れなくてはならなくなったからです。タヌキ像のありかを示した地図は、偶然にも日向の母親が持っていたのですが、残念ながらその3分の1でした。3枚の地図を手に入れ、200年前の暗号を解かないといけません。お宝マニアには跡をつけられるし、金髪のカワイコちゃんは「お金」のことばかりだし、寺の孫はオタクのようで頼りないし、挙句の果てにタヌキの赤ちゃんには懐かれるし、果たして日向たちは怪盗ヴォックスよりも早くタヌキ像を手に入れることができるのでしょうか。
 暗号の解読もさることながら、たびたび出てくる謎解きがひとときの憩いとなりました。そのどれもがとてもよく出来ていたのにはびっくりしました。一番好きだったのが、数の問題です。125の倍数が1000というのはしょっちゅう使っているので無意識に使えるのですが、16の倍数は使っていても意識したことはなかったので8000にも馴染みがあったのに、問題の数が100万単位だったため頭が真っ白になってしまって、咄嗟に答えられなかったのは本当に悔しかったです。あと、お宝のありかが正三角形になるというのですが、これはすごかったです。立体かなと思ったのですが、なるほど、この手がありましたね。こういうゲーム性のある本というのは、小学生の方にはとても楽しめるんではないでしょうか。
 月乃の落ち着いた雰囲気で謎を解いていく様子も好きでしたが、やはり日向の向こう見ずだけど活発で優しい行動には、頑張ってと、つい応援してしまいます。ほかの登場人物たちも、どの子も生き生きとした会話をして楽しませくれました。とくに金髪のカワイコちゃんのセリフ回しにはのけぞってしまうほど楽しかったです。ぜひ次も登場してほしいものです。そこに、ハンサムな少年が絡んできたりしてくれると、もっと楽しくなるんじゃないでしょうか。
 可愛らしいイラストを見ながら、楽しい謎解きができて、本当にうきうきするほど可愛らしい登場人物たちでした。次の作品にも取りかかっているようですので、また二人がいろいろと活躍してくれることでしょう。楽しみにしております。
 小学生や中学生のお友達にもぜひ読んでいただきたいです。
 お薦めします。