人柱はミイラと出会う/石持浅海

人柱はミイラと出会う
人柱はミイラと出会う
石持浅海

新潮社 2007-05

asin:4103046716

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 ★★★★
 人柱とか、お歯黒とか、参勤交代がふつーに行われているニッポンでのお話。パラレルワールドで謎解きをやっているので、最初の「人柱はミイラと出会う」は脱力して膝から崩れ落ちそうになってしまったが、ロジックがどんどん冴えてきて、意外や意外、これが和み系の本格ミステリで結構面白かった。
 「人柱〜〜〜っ!?」って驚く留学生のリリーをよそにニッポンの因習を丁寧に教えてくれるのは、ホームステイ先の慶子。怪事件が起こるたびに、明晰な頭脳でズバズバ謎を解いていくのは、プロの人柱職人である従兄の東郷直海。直海兄さんと慶子とリリーの三人で、在りし日のわが国の歴史と伝統を教えてくれるという、連作短編ミステリだった。
 閑話休題
 私はひきこもり生活をしているため出掛けるということはほとんどしないのだが、先日、母が上京してきたのでちょっくら新宿まで出掛けてきた。お互いベタベタした関係ではないし、母のほうが忙しい毎日を送っているものだから滅多に会うことはないのだが、最近、ぎっくり腰やら、首の鈍痛やらで、いつになく気弱になった私は、これは会っておかないとマズいんじゃあるまいかと思ってダンナとムスメを引き連れて行ってきたのだった。美容院にいって綺麗にして来るように、という母の言い付けに素直に従い朝一で美容院にまでいって、だ。4年ぶりだろうか。お蔭で親孝行(?)ができたようである。ただ味を占めた母が、来年も来るように、と言うのには参ってしまったが。はい、分かりましたと答えた、そんな日の読書であった。行き帰りの電車の中で読んだのであったが、いやその面白かったこと。ことのほか楽しいひと時を過ごさせてもらった。ごちそうさま。