生還者/保科昌彦

生還者
生還者
保科昌彦

新潮社 2007-04-20

asin:4103044713

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 ★★☆
 旅館で土砂崩れに遭い、4日間も生き埋めにされながらも奇跡的に生還した6名。その生還者たちが一人また一人と不審な死を遂げていく。何かの呪いなのではないのか。いつわが身に降りかかるかもしれないと恐怖しながら、真相を探るべく当事者の図書館司書の男が動いていく。
 サイコ・サスペンスという触れ込みだが、戦慄するほどの怖さもなく、これはちょっと肩透かしだった。といって、まるで詰まらなかったかといえばそうでもなく心理サスペンスとしては、なかなか楽しめた。ただ惜しいことに、演出と構成に懲りすぎたのかスピード感に欠け、ドキドキ感や緊張感が半減してしまって物語にのめり込むまでいかなかった。とくに本格ミステリの要素を入れたためか、真相とオチが甚だしくつまらなかったのは残念。一番怖くてぞっとしたのは、真っ黒い表紙に浮かんだ顔、かな。