死の開幕/ジェフリー・ディーヴァー 越前敏弥

死の開幕
死の開幕
J. ディーヴァー 越前敏弥

講談社 2006-12-15

asin:4062755947

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★★★
 ルーンシリーズニ作目。
 タイムズ・スクエアのポルノ映画館で爆破事件が起きた。その映画館を通り過ぎた映像作家の卵、ルーンは辛くも難を逃れたが、好奇心に勝てず現場に戻る。これがきっかけとなり、ここで上映されていた作品にでていた主演女優のドキュメンタリーを撮り始めるが…。
 解説によると、シリーズ一作目は十二年前に翻訳出版された『汚れた街のシンデレラ』だという。残念ながらこちらは未読。本作は、やはり初期の作品なだけに「そりゃないだろ」というところが多々あって首を傾げざるを得ないのは確か。だが、ブレイクした『ボーン・コレクター』以降の作品に見られる、ディーヴァーのおはこ(十八番)であるジェットコースターのようなスピード感あふれるストーリー展開やサスペンスの連続といった片鱗がうかがわれ、最後まで読者を楽しませてくれるのは、さすがディーヴァーである。ただ、仕掛けは満載なのだが、行き当たりばったりなところがあって、やはり洗練された作品だとは言いがたい。主人公の魅力もいまいちだし、凡作と言う人も多いだろうがわたしは結構楽しんで読んだ。ディーヴァーの作品として本書から読むのはお勧めできないが、初期の作品に関心がある方には十分楽しめると思う。