朝日のようにさわやかに/恩田陸

朝日のようにさわやかに
朝日のようにさわやかに
恩田陸

新潮社 2007-03-30

asin:4103971088

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★★★★
 ショート・ショートを含む14編からなる短編集。いろいろと違った種類のものが味わえてお得な作品集。その分、統一感に欠けているかも。好きだった作品について一言コメントを。

  • 「冷凍みかん」

 この作品は特に印象が強い。「冷凍みかんを凍らせたまま安全な場所に」という言葉を残して死んだ老人。冷凍みかんで思い浮かべるのは、旅。逆に、旅に出るときにしか食べないもののように思うのだが、田舎の寂れた店に置いてあるアイスボックの底に、もしこれを見かけたら…。なんて思うと楽しい。

  • 「いいわけ」

 「今朝はとてもいい天気だったからねえ」それでこんなことをしでかすのは…。発想がとても愉快。巧いなあ。ところでモデルは誰?

  • 「おはなしのつづき」

 これも好き。どういった状況での話なのか、しだいに分かってくるのだが、口調が軽やかなだけにずどんとくるオチにはやられてしまう。

  • 「淋しいお城」

 この世の中で「淋しい」ことくらいいけないことはない。「みどりおとこ」は淋しい子供をさらっていく。メルヘンチックだけど、そこにあるのは恐怖。「ミステリーランド」の予告編として書いたものらしいが是非とも本編を読みたい。

  • 「卒業」

 スプラッタ・ホラー。たった二十枚の中にあるのは、どこをとってもぞくぞくするほどの恐怖。是非長編で読みたい。