回転木馬/柴田よしき

回転木馬
回転木馬
柴田よしき

祥伝社 2007-03-13

asin:4396632770

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★★★
 「逢いたい。もう一度彼に逢いたい」失踪した夫を待ちながら、夫がいつ帰ってきてもいいように必死で探偵事務所を続けている下澤唯。前作、連作短編集『観覧車』を受けて、夫の失踪の謎に唯が迫っていく。十年の月日を経て偶然彼を目撃した唯は、細い糸をたぐりながら追跡を続けていく。そんな中、夫の貴之は雪という女性と一緒にいることが判る。だが、追いついたと思っても、するりと逃げられてしまう唯。追っても追っても夫に辿り着けない唯。なぜ二人は逃げているのか。失踪前日に起きたホームレスの不審死と関係があるのか。いつの日か再び夫と逢える日がくるのであろうか。あれから十二年の月日が経っていた。
 前作を読んでないのでこれはわたしのせいかもしれないが、文章がするする頭に入ってこなくて苦労した。たしか下澤唯が主人公だったはずなのに別の人物の話がされていたり。そんなこんなで、とにかく序盤から違和感がつきまとう。頓珍漢な感想かもしれないが、一言で言うなれば、もやもやとした気持ちだけが残って納得がいかない、というところか。なんで唯はこんなに長い間(12年間も)うじうじと失踪した夫を待てるのだろうか。しかも女性と一緒に暮らしていると判り、その上、どうやら子供までいるようだ、と思うのにだ。唯は莫迦だ。あくまで優しくて、そして哀しい人。こんな嫌味な女はわたしの趣味じゃない。だけどもっと大莫迦野郎の貴之よ、唯を大切にしてあげてくれ、と言いたい。他の方の感想を拝見すると、涙を流して感動したというのが多かった。わたしは残念ながら、感動とは無縁だった。