夜想
貫井徳郎
文藝春秋 2007-05
asin:4163259902
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★★☆
宗教と救いがテーマ。なんだろう、きっと。だけど話が地味すぎてつまらん。先が見える読書ほどつまらないものはない。好きなテーマじゃないのでいまいち気分がのらなかったというのもある。というより貫井作品にしては毒が少なく展開が冗長すぎたと思う。正直まあ、独り言を言う主人公に引いてしまった、というのが大きな原因なんだが。
交通事故で妻子を亡くした哀しみをいつまでもいつまでも引きずっていて、後ろ向きの思考しか持ち合わせていない。同情はするが、部外者からすれば、ああまたか、という思いに駆られてしまう。だが、それはしょうがないだろう。いつまでも自分に甘く他人に厳しい態度をとっていては好感がもてるわけがない。
もう一人の主役は特殊能力を持っている美少女。こちらは爽やかで良い。だけど彼女自身の話が主体ではないだろうから、これはこれで爽やか過ぎて物足りない。万能な神のように見える彼女だがまだ十代の大学生なのだ。この彼女に寄りかかり甘ったれた態度を貫く主人公って、いったい……。あ、また同じことを言ってしまった。
ということで、好きな作品ではなかった。そういえばこれはミステリーでもありましたね。この部分は完全に読めてしまって、これまたつまらなかったです。ミステリーをたくさん読んでいる者にとっては「なあんだ」で終わりました。そうそう、結末が○○○だったのが一番の驚きかな。ふーん、とまったく納得がいかなかったけど。