ソウルケイジ/誉田哲也

ソウルケイジ
ソウルケイジ
誉田哲也

光文社 2007-03-20

asin:4334925421

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★★★★
 『ストロベリーナイト』の続編。
 多摩川土手に乗り捨てられた軽自動車から血まみれ左手首が発見される。なぜ左手首だけが残っていたのか。調べていくうちに意外な事実が浮かび上がってくる。
 今回も主役は捜査一課十係の姫川玲子主任(29歳)。カンと閃きで事件を組み立てていく彼女だが、この若い警部補の会話がなんともユニークで楽しい。捜査会議の席では、いつも心の中でいい感じに突っ込みを入れながら、ホシをあげようとする情熱は人一倍だ。そんなことは当たり前か。反対に一切の予断は捜査の妨げだと、見たもの出たもの聞いたものしか信じないのが同係の日下主任。まったくタイプの違う二人が競っていくのだが、これがなんとも面白い。わだかまりがあるようで、心配したり気にするところは、やはり刑事の血がそうするのか。重苦しい場面があっても、姫川と菊田の恋模様があったりと軽妙な筆致で進んでいくのでとにかく楽しんで読める。
 ただ、ある一場面はどうしても読めなかった。可哀想で胸が掻きむしられてダメだった。
 シリーズ物として読み続けたい。