片眼の猿 One‐eyed monkeys
道尾秀介
新潮社 2007-02-24
asin:4103003324
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★★★
あ、な〜んだ。そっちにいっちゃったのね。ちょっと変わった厭な話を書くけど、仕掛けが素晴らしくて衝撃的だし、気持ちよく騙してくれるので結構好きだった道尾秀介なんだけど、これはちょっと肩透かしというか、違うだろ、それ。軽めの文体でサクサク読めるのはいいとしても、ハードボイルドの体裁をとったのが間違いだとしか思えない。ハードボイルドにしたいのなら、それ相応の人物描写が必要だろ。なのに、それがまず出来ていない。もともと、道尾秀介は登場人物の人間的側面を描くというより、トリックのほうに力を入れているようだから、これは失敗だとしか思えない。この一人称の文体ではハードボイルド小説としてはダメダメだし、人物設定がトリックのための設定だとしか思えず、気持ちよく騙されない。トリックがわかっても、ふーん、とどうでもいい思いしかなくて、小説としては期待はずれだった。だけどやっぱり次作に期待。