
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/10/15
- メディア: 単行本
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つまりは、今ある世界よりもう少し先の世界の話なので、学校で銃をぶっ放す人たちがでてこようが、大きな鋏で指を切り落とそうとする人がでてこようが、そんなものは恐怖でもなんでもなくて、では、どこに恐怖を感じるかといえば、ひょっとしたら自分の身近にこういうことが起きるかもしれないということを、普段何気なくパソコンで検索しまくっているわが身を震えさせるのに十分な、伊坂の手腕にあったということである。ぶっ飛んだキャラがそれに加担し、半端なく面白かった。
コミカルな文体であるし、会話文にいたっては、まるで漫画のノリなのだが、それだからこそ、もしかして近未来には人間の尊厳が失われる恐怖政治が待っているんじゃないかと、ついついチャップリンの「モダン・タイムス」を思い浮かべながら読ませてもらった。