孤独なき地/香納諒一 

 最新刊の『毒のある街 K・S・P〈2〉』を面白く読んでいたら、100ページのところで、タイトルに「 K・S・P 2」とあることに気づいた。迂闊にもほどがある。ということで、急いで図書館でシリーズ1巻の本書を借りてきた。
 うーん。2巻の出だしで、足が切断したり両腕が吹っ飛んだりするような、派手な描写を読んでいたせいか、血がどばどば出る話を想像していたら、意外と地味な描写でつまらなかった。もっとも、冒頭からいきなり、側頭部が弾け飛ぶような狙撃事件が始まるのだから、読むほうとしては展開が早くて良い。で、お約束のように次々に人が殺されていくのも、アクションを楽しむのほうとすれば、退屈しなくて良い。
 しかし、香納諒一お得意のハードボイルドを期待して読むと、肩透かしを食らってしまう。といって、警察小説というのでもないようだ。だいたい常に銃を携行し、ほとんど問答無用でぶっ放したりする刑事なんて実際にいるんだろうか。
 それはそうと、中国マフィアと日本のヤクザの関係や事件自体が複雑すぎて、よくわからなかった。読みながら自分の読解力を嘆いてしまったよ。実際、キャラの魅力もいまいち伝わってこないせいか、署内のごたごたばかりが目に付いて、さっぱり事件の真相が見えてこなくて参った。特捜班のチーフも、スキンヘッドだかなんだか知らないが、あんまりカッコ良くみえないし、キャリアの女捜査官も、巨乳のナイスバディというのだが、これも設定だけだったようだ。第2巻に期待しよう。