毒のある街/香納諒一

毒のある街 K・S・P〈2〉

毒のある街 K・S・P〈2〉

 シリーズ第1弾が大して面白くなかったので、どうなることかと思ったが、これが滅法面白かった。
 だいたい主役を張っているのがチャイニーズマフィアというが、話をややこしくしていけない。似たような名前ばかりで読めないじゃないか。
 でも2巻目ともなれば、さすがに読めるようになってくるし、チャイニーズマフィアと日本のヤクザと警察の、ごちゃごちゃした関係にも慣れてくる。そうすると、登場人物や事件の背景、それに伴う心理描写まで、かなり丁寧に描き込んでくれているので、面白くてしょうがない。先が気になりながらも、じっくり読むことができた。
 相変わらず事件は複雑なのだが、爆殺されたり撃ち殺されたりと、ぎょっとなる出来事が目白押しなので、なんとかして事件の真相に近づきたくて捲る手が止まらなかった。気なっていたスキンヘッドの刑事と女性キャリア捜査官の関係も、前作よりしっくりいっていて安心した。さすがに作者も巨乳にこだわるのはマズいと思ったのか、今回はセクハラまがいの描写は出てこなかった。やっぱりアレは設定だけだったようだ。
 前作で散々ムカついた署長の深沢だが、やっぱりこいつはどうしようもないバカだった。あれ?
 ということで、悪魔のように頭の切れる朱除志(チュー・ロンジー)の報復で幕を開けたシリーズ第2弾だったが、チャイニーズマフィアとの決着は持ち越しとなった。これでますます次回が楽しみになってきた。