救済の彼岸(きし)
朝倉祐弥
集英社 2007-03-05
asin:4087748499
Amazonで詳しく見る
楽天で詳しく見る
bk1で詳しく見る
★★
じゅ、純文学だったのね。…知らなかった。デビュー作の『白の咆哮』が評判を呼んで、これが二作目。あちこちで物議をかもしているようだが、かなり独特の世界観らしい。そんなことも知らないで読んだというのもあるが、ごめん、まったく理解できなかった。普通の価値観ではついていけない世界である。異常といえば異常。それだけに嵌る人にとってはたまらない小説だろう。
主人公は、会社を辞め、巨大なプラズマテレビだけを眺めて暮らしている男である。ある日、スーツ姿の女がやってきて「アダウチです」という耳慣れない語を口にする。孤児のため児童養護施設で育ち、苦労して大学を卒業して優秀な営業マンだった主人公。そんな自分がなぜ身に覚えのない恨みを買うのか、そんなはずはないではないか。そう主張しても女は引き下がらない。激しく憎んでいる者がいるのだと言う。仇討ちの根拠とされた出自を教えくれ、「異議申し立て」の最終期日は、明日だと言う。天涯孤独であり、世間とは関わらないで過ごしていた主人公を、情念の渦巻く世界へ男を引きずり戻してゆく。
と、ここまで書いてきたが、結局のところ何がテーマなのか全くわからなかったので、それらしい感想もナシということで、ご勘弁を。