ナイチンゲールの沈黙/海堂尊

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★★★★☆

 「チーム・バチスタの栄光」に続く第二作。
 前回ものすごく期待して買った「チーム・バチスタの栄光」が、文章がいまいちでガッカリした記憶がある。それで今回は冒険をせずに、図書館から借りてきて期待せずに読んだ。
 うわ。ものすごく面白い。
 文章が滅茶苦茶巧くなっていて、まるで別人。リアリティある医療現場はもちろんのこと、地の文から会話文まで素晴らしく出来が良い。今回は眼球に発生する癌の子供たちが登場するのだが、眼球を摘出するという辛い場面もあり、この子達の心情がとてもよく描けていた。この辺の描写はさすが現役の医師である。素晴らしかった。もちろんエンタメとしても抜群に面白かった。ミステリとしてはまるっきりダメだけどね。だけど、もともとミステリを重視して書いてないのだろうから、これはまったく無問題。ただ、少々オカルトチックだというのが気になった。それと、小児科病棟の看護師としてヒロイン役で浜田小夜という女性が出てくるのだが、この彼女の言動にまったく共感できなかったのが、痛い。会話が面白くなく、行動が理解不能。要するに下手糞。まあ、これはどうでもいい。全体的にすっごく面白かったから。
 今回も愚痴外来の田口医師と厚労省の白鳥のコンビが登場。作品のスパイス役として頑張ってくれていたが、残念なことに二人とも影が薄かった。だけど、行灯先生の田口のセリフは一人突っ込みもあって好感がもてるし、白鳥のは唯我独尊的で楽しかった。もっと羽目を外してハチャメチャに活躍させてくれたら、もっと楽しかったかも。それでもこの二人のコミカルな味付けはやっぱり面白い。次回はもっと可笑しく活躍させてくれることを祈っておこう。って、言ってたら、もう次のが出ていたのね。
 次回はまた買いたいな。ほんとよ。楽しみだなあ。

追記

 ついでといっては何ですが、消してしまった「チーム・バチスタの栄光」の感想のキャッシュがあったので文体を変えて下に載せておきます。コメント欄もコピーしておきましたのでよろしくです。