ジャングルドームを脱出せよ!/関田涙

 「マジカルストーンを探せ!」のシリーズ5作目。今回もとても面白かったです。
 今回は、タイトルにあるように、なんとかしてジャングルドームから脱出しようと、日向と月乃が協力し合って誘拐犯をやっつけるという話。
 といっても、単に誘拐犯をやっつける話だけじゃなくて、その間にジャングルドームが緑色に光る謎なんかがあったりして、ほんとに盛り沢山で楽しかった。
 第一、誘拐なんて、現実的に考えるとどよーんとなってしまうものだけど、マジストのみんなにかかると、時間制限ありの絶体絶命のピンチだって、サクサク解決してくれるから、読んでいても気持ちがいい。しかもアクションが主になりそうっていうので、どんなに色気のない話になるかと思えば、意外や意外、いろいろと綺麗なお姉さんが出てきて楽しませてくれた。これは嬉しい。プロローグでいきなり、黒い肌のものすごい美女が出てきて静々と語りだしてくれたところで、すでにノックアウト。ひょっとして、他にも楽しませてくれるのかなと思ったら、果たして、塾でもボーイッシュな先輩が出て来て、ちゃきちゃきと絡んでくれた。
 やっぱりこういう綺麗なお姉さんたちが出てくると、場が華やいでいいよね。最後には、ナイスバディの真っ赤な髪の、アコナイト姐さんまで出てきてくれたので、もう言う事無し。間宮氏のイラストも、物語の雰囲気にぴったりで充分堪能させてもらった。
 さて、事の発端は、夢の世界の終焉を防ぐために、7つのマジカルスーンを集めている日向と月乃が、さすがにあちこち飛び回ってばかりもいられないというので、学習塾に行くことになったからなの。
優等生の月乃は塾なんて行かなくても、ちっとも困ることはないだろうけど、空手に夢中になっている日向はこのままでは高校受験で困ることになるというので、体験入塾してみることになったの。お母さんが選んだところは、中学受験コースもある全国展開している大手塾、ネイキッド・ブレイン。通称、ネキブレ。
 隣町にあるという横浜校は、地下2階、地上10階建ての近代的な高層ビル。ショッピングモールやスポーツジムなんかが入っていて、そのうちの5階から10階までが塾というのだから、どれだけすごい塾かわかるというもの。どういうシステムになっているのかは読んでからのお楽しみ。こういう現実味帯びている話って、面白いよね。きっと小さいお友達も気になると思う。
 おおっと。塾の話はこれくらいで。肝心なのは日向たちを誘拐したショットガンを持った犯罪者たちだった。いやでも、こういう身近な出来事から一気に非日常的なことに突入していくから、この物語は面白いんですね。
 ということで、あまり話しちゃうと感動が半減するので、マジストのみんなの活躍は読んでからのお楽しみに。そうそう。ビルの屋上に、噂のジャングルドームがあったのでした。おしまい。