2月新刊備忘録

*1:『三人の名探偵のための事件』『死の扉』の英国黄金期本格の巨匠、待望の第6長篇登場。「動機なき芸術殺人」の謎に名探偵ビーフが挑む! 森で発見された死体と、1年前の殺人計画手記。錯綜する証拠から導かれる意想外の真相とは? ケント州の「死者の森」で、頭部を銃で撃たれた死体が発見される。地元警察が自殺として処理するつもりだと考えた被害者の妹は、警察を退職して私立探偵を始めたビーフに事件の再調査を依頼する。一方、その一年前、ウェリントン・チックルは一冊の日誌を書き始めた。「私は殺人を実行する決心をした。……そして、ここが肝要な点なのだが、――私には動機がないのだ」 『野獣死すべし』ばりの構成の妙とフェアプレイの精神で読者を魅了する、英国本格の精華がここに登場!(解説・三門優佑) Amazonより

*2:青年は隠すしかなかった。自身に黒人の血が流れていることを。BLM運動で揺れるアメリカの新鋭作家が放つ、差別の構造を浮き彫りにするクライム・ノヴェル。1995年、ピッツバーグ。О・J・シンプソン事件の裁判の行方が全米で注目され、人種間の緊張が高まるなか、青年ボビーは秘密を抱えていた。それは、白人として生きる彼に黒人の血が流れていること。その彼の前に、白人至上主義者に変わり果てた旧友アーロンが現れ、ある黒人青年に対し傷害事件を起こす。期せずして旧友の逃走に手を貸してしまったボビーは捜査に怯え、さらには出自をアーロンに悟られまいと苦悶する。そんなとき、黒人である死んだはずの父親が姿を現しーー。人種問題の核に迫るクライム・ノヴェル Amazonより

*3:大好きなパパが亡くなり、マディーとママは新しい土地に引っ越してきた。学校でいじめっ子に目をつけられたマディーは、毎日悲しみと不安に傷つきながら過ごしていた。だがある日彼女のノートパソコンに、絵文字だけからなる謎のチャットが届いて……。表題作ほか、謎の尼僧に見いだされ殺し屋として生きることになった唐の将軍の娘の物語「隠娘」など、第三短篇集である単行本『生まれ変わり』から8篇を収録した珠玉の短篇集。Amazonより

*4:伊吹の双子の姉・朱里は20歳の誕生日を向かえた日、なんの前触れもなく自殺した。朱里の遺品の中から大衆演劇「鉢木座」の半券が見つかり、それが死ぬ前の最後の足取りであることを知った伊吹は、少しでも真相に迫るべく一座の公演に行った。公演後、座長に詰め寄る伊吹の姿を見た若座長の慈丹は、その容姿を見初め、入団を強く進めた。伊吹は何か手がかりが掴めるのではと入団を決意し、以降、訓練と舞台に追われながらも、「女形」としての人気も得始めていた。そんなある日、ひょんなことから両親と鉢木座との繋がりが露見することに。それは鉢木座の過去に秘められた禁断の事実だった……。血脈に刻まれた因縁、人間の最果てと再生を描いた問題作。Amazonより

*5:●作家でフランス文学研究者の著者にとって、パートナーと父母の介護と最期を看取り、自らは大腸がんとうつ病の25年だった。ようやく辿り着いた快活で人間味たっぷりの「老活小説」。ダメ男や老いの入り口にたつ人びとのどこか陽気な連作短編集。●昔も今も人はせつなく老いていく。横浜山手の洋館に住む老婦人は青い部屋のベッドに横たわるが、ときにフランス小話も語る。離婚・退職ののちにモエはヘルパー資格を取り、突然の宝石熱にとりつかれてネットオークションにはまっている。やり手の実業家のトチ中野は介護事業所「スマイル光」からモエをマリアンヌ鈴木宅に派遣した。トチの連れ合いで甲斐性なしのリチャードや美にこだわって整形を繰り返す大道芸人のミッキーなど、老婦人の仲間はひと癖あってみな愉快だ。トチ中野は地域包括支援センターでの人脈を通じて、シニア婚活パーティ「ひなげし会」を開催してひと儲けを企んでいる。老婦人はここで若き日の意外な過去に出会うが……。Amazonより

*6:2018年仏メディシス賞外国小説賞受賞作 サンフランシスコは決して「美しい街」ではない。冷たい霧と泥と、薬物と銃とタトゥー。29歳にして二つの終身刑プラス6年の刑で服役しているロミーにとって、生まれ育った街はただ呪われていた。幼い頃から愛情に恵まれず、社会支援も得られず、ドラッグや万引きを繰り返し、ストリッパーになり、子を産んで、その子が幼いうちにストーカーを殺し、逮捕された。やがて息子の面倒を見ていた母親が亡くなったと知り、ロミーは絶望の果てに脱走を企てる。主人公ロミーの他、カリフォルニア州スタンヴィル女子刑務所で絶望的な余生を過ごす囚人たちが、あの手この手で生きる希望の糸口を探す様子が克明に描かれる。刑務所に収監された女性たちの心情を繊細に描き出すことで、格差社会の底辺にいるアメリカ人たちを浮き彫りにした、文学の香気も漂う傑作スリラー。なお本作は、フェミナ賞と並ぶフランス最高の文学賞であるメディシス賞(外国小説部門)を2018年に受賞、同年ブッカー賞の最終候補ともなった。Amazonより

*7:伝えなければいけないこと。それは――「東日本」から10年、「阪神・淡路」から26年 二つの被災地をつなぐ震災三部作・完結編。自ら阪神・淡路大震災で被災し、妻子を亡くした小野寺徹平。東日本大震災で被災した遠間第一小学校に応援教師として赴任し、二年を過ごした小野寺は、神戸へ戻り、教え子の相原さつきが代表を務めるNPO法人「震災伝承プロジェクト」の活動に奮闘していた。震災で起きたことを語り継ぐ活動を通じ、被災地復興の主役はその土地でこれからの人生を歩む若い世代であるとの思いを強くする。その一方で、住宅、五輪、ボランティア、産業誘致など、「復興」の掛け声の下、課題を抱えたまま「東日本」から10年の2021年を迎えた。そこに未来へ向かう希望は見いだせるのか。小野寺にとって、「使命」とは何か。彼がたどり着いた、一つの答えとは――。Amazonより

*8:ベストセラー「書店ガール」シリーズの著者が描く、慟哭のミステリー 書店員の椎野正和は、ある朝届いた積荷の中に、少年犯罪者の告白本があるのを知って驚く。それは、女子中学生が惨殺され、通っている中学に放置された事件で、正和の同級生の友人が起こしたものだった。しかも正和は、犯人の共犯と疑われてしまい、無実が証明された後も、いわれなき中傷を受けたことがあったのだ。書店業界が「売るべきか売らないべきか」と騒然とする中、その本を読んだ正和は、ある違和感を覚えるのだが……。出版・書店業界の裏事情を巧みに盛り込んだ、著者渾身の長編小説。Amazonより

*9:この会社で、この仕事で、この生き方のままで――いいんだろうか。若手注目作家が未来の見えない大人たちに捧ぐ、渾身のお仕事小説! 大学卒業後に入社した大手広告代理店でパワハラに遭い、三年たたずに退職してしまった未谷千晴。働く自信と希望をすっかりなくしてしまった千晴だが、どうにか「普通の大人」に戻りたいと、叔母が経営する人材紹介会社を活用しながら転職活動をすることに。彼女はその会社で、「転職の魔王様」という異名を持つ凄腕キャリアアドバイザー・来栖嵐と出会う。 「仕事内容なんて何でもいいから、とにかく履歴書の空白期間を埋めたい。それが未谷さんのご希望ですか」 面談初日から不躾な態度で接してくる来栖に、千晴は戸惑うが……。人気漫画家、おかざき真里氏、装画描き下ろし&推薦! Amazonより

*10:『ルパンの娘』で話題の著者最新刊は、犬犬犬犬犬だらけ。毛だらけで身も心もあたたまるハートウォーミングミステリNOワン! 犬と歩けば、謎にあたる。「頑張りすぎてませんか。犬だって嫌なことがあったら吠えますよ」 生き物って、生きてるって、あたたかいね。なんでもない日常がワン! ダフル Amazonより

*11:彼らに残っていたのは、もはや後悔だけだった。19年前に世間を騒がせた、ある天才ギタリストの「伝説の死」。その美しい旋律に搔き消された慟哭の真相とは——? コカイン所持で逮捕された男の暴露によって、19 年前の事故を、殺人事件として再捜査することになった。当時人気絶頂のさなか、ホテルの部屋で死体となって発見されたギタリスト・鈴村竜之介。時を経て、その被疑者に浮上したのは、鈴村と同じバンドの元メンバーで、今はソロとしてブレイクしている木宮保だった。事故死か、殺人か、それとも――? 当時の関係者を回り、執念の捜査を進める二人の刑事たち。音、絆、女、薬……あの日、あの部屋で、何があったのか。やがて狂騒の真実が白日の下にさらされる! 濃密な人間ドラマと哀切を極める結末。ミステリー小説の白眉! Amazonより

*12:「あんた、ゴミサトシって知ってるか?」 元刑事の河辺のもとに、ある日かかってきた電話。その瞬間、封印していた記憶があふれ出す。真っ白な雪と、死体――。あの日、本当は何があったのか? 友が遺した暗号に導かれ、40年前の事件を洗いはじめた河辺とチンピラの茂田はやがて、隠されてきた真実へとたどり着く。『スワン』で日本推理作家協会賞吉川英治文学新人賞を受賞。圧倒的実力を誇る著者が、迸る想いで書き上げた大人のための大河ミステリー。Amazonより

*13:結婚願望を持つ中年女性のルーシー・ティータイムは、イギリスの田舎町フラックス・バラにある結婚相談所で「ロンリーハート(交際を希望する中年男性)4122号」と知り合い、甘美な未来と薔薇色のロマンスを夢見る。しかし、過去に彼と関わった女性は二人とも行方不明になっていた……。英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞の最終候補に挙げられた秀作、待望の邦訳! Amazonより

*14:舞台は戦後ロンドン。戦時中にスパイ活動のスキルを得たアイリスと、人の内面を見抜く優れた目を持つ上流階級出身のグウェン。対照的な二人が営む結婚相談所に、若い美女が入会する。奥手だが誠実な会計士を紹介したところ、女性が殺され、会計士の青年が逮捕されてしまう。彼が犯人と思えない二人は、能力や人脈を駆使して真犯人捜しに乗りだすが……。女性コンビの謎解きと、人生を切り拓こうとする勇姿を描く爽快なミステリ! Amazonより

*15:「私は確かにその二人を知っていた。もっとも、私はその二人の顔も名前も知らない。」恩田陸の新境地となる、“事実に基づく物語"。 26年の時を超え、恩田陸、デビュー当時からの「宿題」が、ついに長編小説として刊行! *ファン待望の総特集「文藝別冊 恩田陸 白の劇場」、同時刊行。【内容紹介】 大学の同級生の二人の女性は一緒に住み、そして、一緒に飛び降りた――。いま、「三面記事」から「物語」がはじまる。きっかけは「私」が小説家としてデビューした頃に遡る。それは、ごくごく短い記事だった。一緒に暮らしていた女性二人が橋から飛び降りて、自殺をしたというものである。様々な「なぜ」が「私」の脳裏を駆け巡る。しかし当時、「私」は記事を切り取っておかなかった。そしてその記事は、「私」の中でずっと「棘」として刺さったままとなっていた。ある日「私」は、担当編集者から一枚のプリントを渡される。「見つかりました」――彼が差し出してきたのは、一九九四年九月二十五日(朝刊)の新聞記事のコピー。ずっと記憶の中にだけあった記事……記号の二人。次第に「私の日常」は、二人の女性の「人生」に侵食されていく。新たなる恩田陸ワールド、開幕! Amazonより

*16:あなたに死の意味をあげましょう。大切な人が生も死も選べなくなった時、人は生きる意味を突きつけられる。愛するが故の葛藤、自ら変えることのできない運命……その果てには――【内容紹介】 聖母マリアの名を冠した医院を経営し、慈善活動でも注目される美容外科医の深淵貴夜には、封印した過去があった。最愛の人に裏切られ、救いの手を差し伸べる人には喰いものにされ、絶望の淵にあったとき、「ずっとあんたを想ってた」と、彼女の過去を知る男が現れる。暗闇から這い上がろうと愛を葬るとき、彼女の中で善と悪が反転する――世間からこぼれ落ちていかざるを得ない人たちの生を、誰もが陥るかもしれない悪を通して描き出す。死の意味とは?人間の剥き出しの欲望を描ききった『狂歌』で第10回日経小説大賞を受賞した著者の最新作。Amazonより

*17:ランチの煮魚を食べながら、その作り方を科学的に検証してしまうほどの理系大学生・涼太。ちょっと変わり者と言われる彼が出会ったのは、あまりに美しい「和菓子」だった。その「美味しさ」にも魅せられてしまい、すっかり和菓子の世界の虜に。勢いのあまり大学院に進まずに和菓子職人になることを決意し、製菓専門学校に入学してしまった。個性豊かな学生たちとともに和菓子作りに精を出すが、和菓子はとにかく答えがない。なんとか自分の和菓子を作ろうと苦心するも、全てを1か0かで考えてしまう理系的思考が、数値だけでは測りにくい和菓子作りの邪魔をして――。Amazonより

*18:カオスなふたりのショートショート15篇 庶務省総務局、経済インテグレート・サステナブル・ソリューション室の島崎室長と部下の中村君が手掛けるエレガントな政策提言 Amazonより

*19:コロナ禍、戦争、ジャズ、映画、文学、反=現代、そして息子の死――。「筒井康隆の成り立ち方」を明かす最前衛の超弩級私小説〉集 Amazonより

*20:時代と共に移り変わる「処女の価値」を追うことで、日本女性の地位、性意識のみならず、社会構造の変遷をもあぶり出す、革新的女性論 Amazonより

*21:ロシア極東の街で幼い姉妹が失踪。この事件がばらばらに生きる女たちを結びつけた――。新鋭米国作家による文芸作品。全米図書賞最終候補作 【あらすじ】 遠い街、見知らぬ人が受けた傷。その痛みは、あまりにも身近――8月のある午後、ロシア東部のカムチャツカ半島の街で、幼い姉妹が行方不明になった。警察の捜査は難航し、事故か誘拐かもわからぬまま時ばかりが過ぎる。失踪事件は、半島中の女性たちに影を落としてゆく。姉妹の母親、2人を最後に目撃した研究者、心配性の恋人に監視される大学生、自身も失踪した娘をもつ先住民族の母親……ばらばらに生きてきた12人の女性の言葉がつながるとき、事件はふたたび動き出す。カムチャツカの美しい情景、そこに生きる女性たちの痛みと希望を克明に描き、世界から注目される米国作家による文芸作品。2019年全米図書賞最終候補作、23の言語で翻訳決定。Amazonより

*22:冷戦下、FBIで働く黒人女性のマリーは、ブルキナファソのカリスマ的リーダー、トマ・サンカラを罠にかける任務を言い渡される。しかし、スパイとしてサンカラに近づくうちに、彼女の信念は揺らぎ始め……。史実を元に、一人の女性の生き様を描く、歴史スパイ小説 Amazonより

*23:地球防衛戦で大破した〈コンスティテューション〉に代わり、エウロパで保管状態にあった〈伝説の艦隊〉の同型艦〈ウォリアー〉の艦長となったグレンジャー大佐。緊急救援要請を受け、惑星ニュー・ダブリンへと向かった彼は、惑星防衛艦隊と協力し、多大な犠牲を払いながらもスウォーム艦隊を撃退しようとする。だがそのとき〈七種族協定〉第二の種族ドルマシを名乗る謎の異星人艦隊が出現した! 果たして彼らの目的は!? Amazonより

*24:知人の懇願を受けてライツヴィルへと赴いた名探偵エラリイは、奇怪な脅迫事件に巻き込まれ……。本格推理小説の極北、新訳決定版 Amazonより

*25:個展に出す予定の連作を火事で失った若手画家。大物アーティスト集団のスタジオを間借りした彼女は、彼らの闇を覗き見てしまう。Amazonより

*26:この命が、尽きる前に。最強の殺し屋、〈熊(オルソ)〉。組織に背を向けた男の、最後の仕事とは――マリアーノ・ロミーティ文学賞デビュー作部門受賞 イタリアン・ノワールの傑作 還暦をとうに過ぎながらも組織一の殺し屋として名を轟かすオルソ。ある日心臓発作に見舞われて生死の境を彷徨った彼は、40年前に生き別れた恋人と娘に一目会いたいと願うように。オルソは忠実に仕えてきた〈組織〉に楯突き、二人が暮らすというイタリア中部の小さな町へ向かうが、道中の列車内で男に襲われる。その男の連れにはどこか見覚えがあり――。イタリア映画界の旗手が放つ慟哭の傑作ノワールAmazonより

*27:一九八六年四月二六日、その事故は起こった。人間の想像力をこえる巨大な惨事に遭遇した人びとが語る個人的な体験、その切なる声と願いを、作家は被災地での丹念な取材により書きとめる。消防士の夫を看取る妻、事故処理にあたる兵士、汚染地に留まりつづける老婆――。旧版より約一・七倍の増補改訂が施された完全版。解説=梨木香歩 Amazonより

*28:東京の高円寺南商店街で小さな仕立て屋を営む桐ヶ谷京介は、美術解剖学と服飾の深い知識によって、服を見ればその人の受けた暴力や病気などまでわかる特殊な能力を身につけていた。そんな京介が偶然テレビの公開捜査番組を目にする。10年前に起きた少女殺害事件で、犯人はおろか少女の身元さえわかっていないという。さらに、遺留品として映し出された奇妙な柄のワンピースが京介の心を捉える。10年前とは言え、あまりにデザインが時代遅れ過ぎるのだ。京介は翌日、同じ商店街にあるヴィンテージショップを尋ねる。1人で店を切り盛りする水森小春に公開捜査の動画を見せて、ワンピースのことを確かめるために。そして事件解明に繋がりそうな事実がわかり、京介は警察への接触を試みるが……。Amazonより

*29:春夏秋冬を快適に。ひと手間の中に生活の楽しさがある――。若い人に比べて残りの時間は明らかに少ないのに、時間がかかることが楽しくなってきたなんて、不思議なものだと自分でも首を傾げているのである。御飯は小鍋で炊く、靴下を編む、万年筆で文字を書く、花のある生活を送るなど、毎日を豊かにするヒントが詰まったライフスタイルエッセイ! Amazonより

*30:鬼才・佐藤究が放つ、クライムノベルの新究極、世界文学の新次元! メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。Amazonより

*31:爬虫類学者の父と、本屋を営んだ母。かつて暮らした家には蛇が住み着いていた。幽霊、粘菌、オオカミ、ハリケーン……自然との境界で浮かびあがる人間の意味を物語性豊かに描く11の短篇。Amazonより

*32:底辺女子が人生逆転!? 不遇な家庭に育った17才のユキが、子供を持ちたい人々と貧困女性を救う〝代理母ビジネス〟の賭けに出る。義父の策略で、違法な代理母出産をさせられた17才のユキ。命がけで出産したにもかかわらず、報酬はすべて義父の手に。再び代理母をさせ稼ごうとする義父の手から逃げだし、ユキは自らの経験を逆手に取り、自分のような貧しい女性を救う大胆な〈代理母ビジネス〉を思いつく。ユキを支えるのは医師の静子&芽衣子のタッグと、ゲイのミチオ&一路。さまざまな事情を抱えた「子どもを持ちたい」人々が、最後の砦としてユキたちを頼ってやってくるが……日本の生殖医療の闇、貧困層の増大、妊娠・出産をめぐる負担など、現代日本が放置した社会問題を明るみにしながら、「代理母」ビジネスのタブーに切り込んだ問題作。Amazonより

*33:沢口涼也はある出来事の贖罪のため、街金会社の支店長の職を辞し、5年前に保護犬施設「ワン子の園」の運営を始めた。体も心も傷ついた犬たちとボランティアのスタッフたちと過ごす毎日だ。様々な里親希望者が訪れるが、犬たちにとって最善の飼い主かどうかを見極めることも大切な仕事だ。そんなある日、恋人で動物愛護相談センターで働く華の元に、犬の虐待を知らせる一報が入るが。Amazonより

*34:時は慶応元年。薩長同盟成立に向けて奔走する坂本龍馬は、京でようやく西郷吉之介を説き伏せた。しかしこの重要な時期に、ともに上洛した長州藩士・小此木鶴羽が斬り伏せられ、下手人は逃げ場のない場所から煙のように消え失せるという奇怪な事件が発生する。尾張藩公用人の鹿野師光は、事件の目撃者だという龍馬に呼び出され、下手人の捜索を依頼される。師光が追うべきは、藩を超えて小此木と友誼を結んでいたはずの薩摩藩士だった――デビュー作にして第19回本格ミステリ大賞を受賞した『刀と傘』前日譚にして、著者初となる長編ミステリ。Amazonより

*35:薄氷の夫婦関係の前に現れたひとりの女。一体彼女は何者……? 中屋紗衣は、都内近郊に暮らすパート勤めの37歳の主婦。ある日、紗衣が夫に内緒で購入した美顔器が、別の住所宛の荷物と入れ替わって届いてしまう。その誤配達を企んだのは、夫の不倫相手・夏希。夏希はSNS上で誤配達に困っている紗衣を発見し、身元を隠して交流を深めていく。SNS上で距離を縮めていく二人、変わりゆく夫婦関係……。予測不可能、衝撃展開のサスペンス。Amazonより

*36:見習い介護士の青年グレゴワールが、老人介護施設で元書店主のピキエ老人に出会い、まったく無縁だった本の世界に足を踏み入れることに。ピキエ氏から朗読を頼まれ、彼の道案内にしたがって、さまざまな本に出会い、読書の魅力を知り、人々と出会い成長していく。本と友情、本と愛情、本と人生を描いた傑作。Amazonより

*37:奇抜な着想、軽妙なプロットで、短編を書かせては随一の名手。1963年には『未来世界から来た男』で創元SF文庫の記念すべき第一弾を飾ったフレドリック・ブラウン。その多岐にわたる活躍の中から、SF全短編を年代順に収めた全4巻の決定版全集。第4巻には「回答」「猫恐怖症」など著者の筆が冴える傑作68編を収録。Amazonより

*38:フィデルマは、単身巡礼の船旅に出ていた。修道女としての人生に疑問を抱いていたのだ。だが船には、かつての恋人キアンが乗っていた。波乱ぶくみの船旅だったが、巡礼の一員である修道女が、行方不明に。時化のなか海に落ちたと思われていたが、その後船室から血のついた衣が見つかったのだ。殺されて海に捨てられたのだろうか? 七世紀アイルランドを舞台に、王の妹にして弁護士、美貌の修道女フィデルマが活躍するシリーズ第七作。Amazonより

*39:船長から捜査の全権を委任されたフィデルマは、巡礼たちに聞き込みを始める。だが巡礼の修道士、修道女たちは奇矯な人物ばかり。おまけに様々な感情が被害者をめぐり渦巻いていたことがわかる。そんな矢先、海に落ちたと思われていた被害者の刺殺体が船室で発見される。しかも、まるで殺されたばかりのような状況で。この数日船に隠れていて、改めて殺されたというのか? 目的地到着前に犯人をあげるべくフィデルマの捜査は続く。Amazonより

*40:現役時代、わたしはメンフィス市の殺人課の刑事として、犯罪者を追っていた。だが引退から数十年、89歳になったわたしの心身は徐々に弱ってきている。そんなわたしに、ラジオ番組のレポーターから過去の捜査に関するインタビューの申し込みがあった。かつて逮捕し、死刑の執行が目前となっている殺人者が、わたしから暴力的に自白を強要されたと主張しているという――。『もう年はとれない』のバック・シャッツ・シリーズ最新作! Amazonより

*41:3・11、光州事件、女性暴行事件などの社会問題に、韓国で注目の新鋭作家が独創的な想像力で対峙する鮮烈な8篇。待望の日本オリジナル短篇集。Amazonより

*42:日系移民2世の登志矢はロシア帝国軍に徴兵されて大戦に臨み、やがて革命の嵐に巻き込まれていく。その先に待ち構えていた運命とは? Amazonより

*43:私の趣味は人の夫を寝盗ることです――有名料理研究家の妻、年下の夫、そして妻の助手兼夫の恋人。3人が織りなす極上の危険な関係Amazonより

*44:この曲、ただいま、おかえりって、言い合ってるみたいやな。街外れで暮らすジャズ・ベーシストの男と、近所の酒場で知り合った女。星座のような会話たちが照らす大阪の二人、その人生。人々の声が響く都市小説集。Amazonより

*45:後輩、お隣さん、合コン相手ーー三歩に訪れる色んな出会い 図書館勤務の20代女子・麦本三歩のあいかわらずだけどちょっと新しい日々 住野よるが贈る、心温まる日常小説シリーズ 待望の最新刊! Amazonより

*46:インテリジェンス後進国ニッポンに突如降臨 公安調査庁は、警察や防衛省の情報機関と比べて、ヒトもカネも乏しく、武器すら持たない。そんな最小で最弱の組織に入庁してしまったマンガオタク青年の梶壮太は、戸惑いながらもインテリジェンスの世界に誘われていく。ある日のジョギング中、ふと目にした看板から中国・北朝鮮ウクライナの組織が入り乱れた国際諜報戦線に足を踏み入れることに――。<初対面の相手に堂々と身分を名乗れず、所属する組織名を記した名刺も切れない――。公安調査官となって何より戸惑ったのはこのことだった>――『ウルトラ・ダラー』『スギハラ・サバイバル』に続く著者11年振りの新作小説。Amazonより

*47:四半世紀を暮らしたウィーンで自死を選んだ兄。報せを受けた妹が辿る生きあぐねた兄の生の軌跡。鎮魂を込めて描きだす、一つの生涯。Amazonより

*48:最高の旅とはさびしい旅にほかなるまい。過去に通り過ぎた町のあれこれから人生の記憶に思いを馳せる、活字で旅する極上の20篇。Amazonより

*49:この世は無慈悲で、でたらめだ――。名声を得ながら、道を踏み外していく姉妹。転落の末に、二人の目に映る世界とは。渾身の長篇。Amazonより

*50:江戸町名主の跡取り息子・高橋麻之助のもとに縁談が三つも!だが、どの縁談も妙なところがあるようで……。果たして縁談の行方は⁉ Amazonより

*51:少年心をくすぐり続ける、シーナSF待望の最新作! 大きな環境破壊が起こり、あらゆる生物が樹海に生息するようになった、近未来のとある惑星。空飛ぶことを夢見る少年スオウは、思いがけず巨大生物に捕まり、部族の住処の外に連れ出されてしまう。どうにか逃げ出したスオウの目の前に、「アインシュタイン」と名乗る謎の男が、航空機に乗って現れる――。Amazonより

*52:アメリカ最高のミステリーに与えられるエドガー賞最優秀長編賞最終候補。わたしの父の身体には、たくさんの銃弾が刻んだ傷跡がある――全米の書評を絶賛の声で埋めつくした、少女と銃と父と、いまは亡き母の物語。12歳の少女ルーは、父とともに亡き母の故郷に移り住んだ。それまでは父とふたり、各地を転々としながら暮らしてきたが、娘に真っ当な暮らしをさせようと、父サミュエルは漁師として働くことを決めたのだ。しかし母方の祖母は父娘に会おうとしない。母はなぜ死んだのか。自分が生まれる前、両親はどんなふうに生きてきたのか。父の身体に刻まれた弾傷はどうしてできたのか。真相は彼女が考える以上に重く、その因縁が父娘に忍び寄りつつあった……。ティーンとしていじめや恋愛を経験して成長してゆくルーの物語と、サミュエルを撃った弾丸にまつわる過去の断章を交互に語り、緊迫のクライム・サスペンスと雄大なロード・ノヴェル、鮮烈な青春小説と美しい自然の物語を完璧に融合させ、みずみずしい感動を呼ぶ傑作ミステリー。Amazonより

*53:犯人は自殺。無差別大量殺人はなぜ起こったのか? 世間を震撼させた無差別大量殺傷事件。事件後、犯人は自らに火をつけ、絶叫しながら死んでいった――。元同級生が辿り着いた、衝撃の真実とは。現代の“悪”を活写した、貫井ミステリの最高峰。Amazonより

*54:事件、誘惑、秘密の関係……すべてを見ているのは、このホテルだけ。張り巡らされた伏線、交錯する善意と悪意に一気読み&二度読み必至! 伝統ある超高級ホテル「ヴィクトリアン・ホテル」は明日、その歴史にいったん幕を下ろす。ホテルを訪れた宿泊客それぞれの運命の行方は――? 『闇に香る嘘』『黙過』『同姓同名』など、話題作を次々発表する社会派ミステリの旗手がエンターテインメントを極めた、感動の長編ホテルミステリー! ! Amazonより

*55:「血のつながり」はなくても、そこには家族があった。【第13回 新井賞受賞決定!】 切ない事情を持ち寄って、不器用な四人が始めた同居生活。ギャンブルに溺れる父と働きづめの母から離れ、日々をなんとなく生きる二十歳の章介。北国のキャバレーで働きながら一人暮らしをする彼は、新しいショーの出演者と同居することになった。「世界的有名マジシャン」「シャンソン界の大御所」「今世紀最大級の踊り子」……店に現れたのは、売り文句とは程遠いどん底タレント三人。だが、彼らと言い合いをしながらも笑いに満ちた一か月が、章介の生き方を変えていく。『ホテルローヤル』『家族じまい』著者が放つ圧巻の人間ドラマ! このラストシーンは、きっとあなたの希望になる。Amazonより

*56:本屋大賞受賞『そして、バトンは渡された』著者の新たな代表作! 音楽と人が生み出す、たしかな希望の物語。29歳、無職。ミュージシャンへの夢を捨てきれないまま、怠惰な日々を送っていた宮路は、ある日、利用者向けの余興に訪れた老人ホームで、神がかったサックスの演奏を耳にする。音色の主は、ホームの介護士・渡部だった。「神様」に出会った興奮に突き動かされた宮路はホームに通い始め、やがて入居者とも親しくなっていく――。人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編。Amazonより

*57:第33回小説すばる新人賞受賞作 選考委員を唸らせた、知られざる角界の裏方「呼出」に光を当てる、新しい相撲小説! 17歳の篤は高校を中退し、親との関係が悪化する中、先の見えない毎日を過ごしていたが、相撲ファンの叔父の勧めで相撲部屋に呼出見習いとして入門することに。関取はいないし弟子も少ない弱小の朝霧部屋で力士たちと暮らし、稽古と本場所を繰り返す日々が始まる。部屋違いの呼出である直之さんは、篤と年は同じながら角界入りは2年早い兄弟子で、声のよさと愛らしい顔立ちで人気があり、すでにファンもついていた。面倒見もよく助言をくれたり相談にのってくれたりするありがたい存在だ。しかし篤は本番で四股名を呼び間違える失態を演じるなど、しくじってばかり……。一方、年の近い先輩呼出の光太郎からは嫌がらせを受け続けていたが、ある日、直之さんのファンだと思っていた女性から、篤を応援していると告げられる。そんな日々を過ごす篤は、兄弟子力士たちの焦りや葛藤を間近に感じながら、「呼出」という仕事に就いた自分の在り方を見つめ直していく。Amazonより

*58:ドラマや映画の撮影現場で起こる事件の謎を、ベテラン俳優が時に厳しく、時にやさしく解き明かしていく。著者渾身の連作ミステリー Amazonより

*59:1995年、大地が裂けた。時代が震えた。阪神淡路大震災地下鉄サリン事件と未曾有の災厄が相次いだ一年、戦後五十年かけてこの国が築き上げたあらゆる秩序が崩れ去っていく……。昭和史の闇を抉った傑作『地の底のヤマ』の著者が描き出す平成の奈落。雑誌記者として奔走した自身の経験が生んだ渾身の力作長編。年明け早々に阪神地方を襲った大地震に衝撃を受け、被災地に駆けつけたヴィジュアル月刊誌「Sight」記者の古毛は、その凄まじい惨状に言葉を失う。神戸でも火災被害の激しかった長田地区では焼け跡に佇む若い女と遭遇。夕方の光を背にこちらを振り向いたときの眼はかつて戦場で出会った少年兵とそっくりだった。果たして彼女は何者なのか? 「何やってんだろうな、俺達」加納が自嘲ぎみに呟いた。(略)「世間の耳目を引く話題に引っ張り回されて、取材取材に駆け回る。それで終わってみりゃぁ、前に何やってたかも記憶が薄れてる始末だ。(略)世間、てぇお釈迦様の掌で踊らされてる、孫悟空かよ」 「元々、報道なんてそんなものだったのかも知れませんけども」古毛は言った。「特におかしくなって来たのが、あのバブルの辺りからだったような気はします」 「あれで、日本が溜め込んで来たあれこれの矛盾が一気に噴き出して来た感じだな。戦後、営々と築いて来たこの国の神話が次々と崩壊してる、ってところかな」――本文より Amazonより

*60:人生につまずいた時、ムーンライト・インは待っている 「わかっちゃった。あなたもムーンライト・フリット(夜逃げ)でしょ」。人生の曲がり角、遅れてやってきた夏休みのような時間に、巡り合った男女。高原に建つ「ムーンライト・イン」で、静かな共同生活が始まる。Amazonより

*61:ノーベル文学賞 受賞第一作 カズオ・イシグロ最新作、2021年3月2日(火)世界同時発売! AIロボットと少女との友情を描く感動作。Amazonより

*62:手塚治虫の未完「火の鳥・大地編」。手塚の構想を下敷きに、桜庭一樹が新たな物語に結実した。舞台は1938年、日本占領下の上海。ロックや猿田博士だけでなく、東条英機山本五十六など実在の人物らも「火の鳥」を求めて暗躍する。Amazonより

*63:1938年上海、關東軍将校の緑郎が「火の鳥」調査隊に任命される。ほかに任命された仲間らと共に、かつて栄えた楼蘭に向かうが、そこで、火の鳥には時間を巻き戻す力があり、歴史の改変がすでに何度も繰り返されていることを知る。Amazonより