12月新刊備忘録

*1:『バッテリー』『ガールズ・ブルー』で、若者の気持ちを透明感溢れる筆致で描いたあさのあつこが、江戸を舞台に紡ぎ出した青春「時代」ミステリー。主人公のおいちは16歳の娘ざかり。江戸深川の菖蒲長屋で医師である父・松庵の仕事を手伝い、忙しい日々を送っていた。いつか父のように人の命を救える立場になり、自分の足で人生を切り拓いていきたい、との思いを胸に秘めて。おいちが他の娘と違うのは、この世に思いを残して死んでいった人の姿が見えること。この不思議な力を誰かのために生かせたら、と願うおいちの夢に、必死の形相で助けを求める女が現れる。「助けて、誰か助けて……」。あれは誰? どうして見えたの? おいちのなかで様々な疑問が渦巻く。そんなおいちのもとに、伯母が縁談を携えてやって来る。その相手とは果たして……。運命を前向きに捉え、健気に生きるおいちの姿に、若者だけでなく、娘を持つ親の世代も共感できる著者会心の長編。Amazon

*2:本田貴世、39歳、独身、作家。「三十代独身女性が奮闘する小説」の続編「結婚小説」を書きあぐねていた。悪戦苦闘は男性経験の少なさゆえか。まずは取材と参加したのは「蕎麦打ち合コン・バツイチ編」男四人、女四人の会。しかし貴世は突然の蕎麦アレルギーになったのか、担ぎこまれて病院へ。倒れた時に手を握ってくれていたのは映像作家の福原。彼も取材だった。福原のDVDを観たことが貴世に何かをもたらした。「だいたい四十歳」の二人が惹かれあい、確かな愛を感じ、結婚することになった。が、結婚パーティの場で貴世は「・・・結婚するのをやめようと思います」と話しだした・・・。貴世の真意は、福原はどうするのか。さまざまな愛の形があるがこれも愛のかたち。笑いのなかに描いた結婚小説。楽天

*3: 日本自動車工業社長・牧瀬修三は、CO2を劇的に削減する新型車開発のために、アマゾン産サトウキビを利用したバイオエタノールハイブリッドカーを着想するが……。CO2削減に専心する牧瀬たちの苦悩と戦いを描いた、壮大な最新ビジネスモデル小説。公式

*4:京都の大学に助教授の職を得て東京から引っ越した美術研究者・佐々木の耳に、旧友の天才美術コンサルタント・神永美有の悪評が入ってきた。まるで金の亡者になったかのように悪辣(あくらつ)な取引をしているという。心配する佐々木は、やがて岡倉天心筆と称される絵の売買で神永と再会、神永は高額で買い取るというが、天心には生涯絵筆を取った形跡が無いのだが……。表題作など切れ味鋭い美術ミステリー5篇。前作『天才たちの値段』でミステリーシーンに新風を吹き込んだ著者が、満を持しておくるシリーズ第2弾。(AK)公式

*5:刀城言耶シリーズ書き下ろし長編! 近畿地方のとある農村。村の人々が畏怖し称えてきたのは、源泉である湖の神・水魑様だった。刀城言耶は祖父江偲とともに水魑様の特殊な儀式を観に行ったのだが、その最中、事件は起こる。神男と呼ばれる儀式の主役が湖の船上で死体となって見つかったのだ。犯人は見つからない。衆人環視ともいえる湖上の船、不可解な状況での事件だった。惨劇はそれだけにとどまらない。儀式を司る村の宮司たちが、次々に不可解な状況で殺されていく。二転三転のすえに示された真犯人とは……。Amazon

*6:女生徒に届いたメッセージは“殺人予告”なのか。エンジェルクイーンコンテストが標的なのか!? 公式

*7:連続殺人? クリスマスイブに向けて新たな事件へのカウントダウンが始まる! 公式

*8:あの女子高生コンビ(ミリ&ユリア)と迷探偵・石崎(独身・理系サラリーマン)がまたまた孤島で殺人に遭遇!! 公式

*9:殺人の罪を背負い、留置場の中で、僕は一人の少女のことを思い出す…… 公式

*10:殺人事件を解く鍵は、坂本龍馬にあり!? 公式

*11:僕らは何のために闘うのだろう? 文庫でもブレイク中の“青春”妖怪伝奇、ついに新作登場!公式

*12:〈ハヤカワ・ノヴェルズ〉海賊が跋扈する十七世紀半ばのカリブ海。英国私掠船船長ハンターは一騎当千の仲間を集め、要塞堅固な島に停泊するスペインの財宝船の奪取に向かう。だが行く手には幾多の難関が待ち受けていた!公式

*13:〈ハヤカワ・ミステリ 1831〉エドガー・アラン・ポー生誕200周年を記念して組まれた豪華アンソロジー!長いあいだ疎遠だった父を病院に見舞った私は、父が求めるままにエドガー・アラン・ポーの詩を朗読してきかせる。そのうちに、父と私が訣別するきっかけになった、過去のある事件の意外な真相が明らかになってゆく――父と子の和解を哀切な筆致で描いたトマス・H・クック「ネヴァーモア」をはじめ、メアリ・ヒギンズ・クラーク、S・J・ローザン、ドン・ウィンズロウなど、アメリカを代表するミステリ作家たちが書き下ろした、ポー生誕200周年記念アンソロジー。ホラーやユーモア・ミステリなどヴァラエティ豊かな20篇を収録。解説/巽孝之。公式

*14:〈ハヤカワ・ノヴェルズ〉コンチネンタル探偵社を辞めたサム・スペードは、旧友のアーチャーに再会し、二人で探偵事務所を立ち上げる。ハードボイルドの名作『マルタの鷹』のルーツがここに。ハメットの遺族公認の前日譚。公式

*15:すべての若い人たちに!! 女の子を可愛がるだけの男の子と、ずっと一緒にいるのが幸せなのか? 気難しい男の子は大好きだけども……。可愛がられるだけじゃ、満足できない!! 女子の道は、けわしい!!! ”新しい女の子”の生き方を探るバカ可愛い高校小説 Amazon

*16:徳川綱吉に取り憑いたのは何と…… 奇想天外な切り口で「忠臣蔵」をコンコンと描く。公式

*17:就職浪人×人気作家×難民探偵=??? 西尾維新の最新推理小説!公式

*18:一読で心を別世界に連れて行ってくれる佳篇揃いの1冊。新聞連載の12篇から、迷いや恐怖、そして歓喜に立ち止まる大人たちを描いた6篇を選び収録しました。温厚な父が秘めた生涯一度の恋、江戸から消えた女房が毎夜見せる不可思議な夢、少年時代の後悔を振り切れない男の久々の帰郷など。今昔も夢現も境を自在に越えて筆は冴えわたります。ブラックに、艶(つや)っぽく、しっとりと……多彩な物語のアソートは夜更けの読書にぴったりです。こどもたちと希望の物語を詰め合わせた姉妹篇『朝のこどもの玩具箱』と併せて、あさのあつこワールド入門にもおすすめ!(YH)公式

*19:週刊文春」好評連載。ご存知、お茶の水女子大学のツチヤ教授の自虐エッセイ。助手、女子大生、女子高生、そして妻。あらゆる女性から軽く扱われる教授の現実。その中で生き延びる道を模索するツチヤ教授苦闘の軌跡を、自らの手でたどる。……混雑する休日の池袋で、女子大生風の女がもつラケットが、突然ツチヤ教授の顔に当たった。気をつけろ、と心の中でタンカを切るかわりに教授がとった行動は痛恨のきわみだった。彼はなんでもなかった風を装って立ち上がり、「ごめんなさい」と言ってしまった。(AH)公式

*20:ビートルズの同名曲をベースにしたファンタジー・ノベル。7歳の女の子ルーシーが古井戸に落ち、そこから始まる冒険物語。本やタウン

*21:「暗記に自信ある者求む」。ある日萬朝報に載ったこの求人、どうも様子がおかしい。心優しき雑誌記者と、超絶美形の人気絵師。2人の青年が織りなす、明治探偵物語第2弾!公式

*22:組織(チーム)を率いるのは、監督なのか、キャプテンなのか。スポーツ小説の俊英が描くラガーマンたちの熱きドラマ。書き下ろし。本やタウン

*23:待望の中田永一の優しくせつない第二短編集。収録作品(5作品)・交換日記はじめました!・うるさいおなか・もしもし、いいえ、ちがいます・三角形はこわさないでおく・吉祥寺の朝日奈くん「吉祥寺の朝日奈くん」吉祥寺のさる喫茶店で出会った美人店員と、献血ルームで偶然再会。その時にメアドを訊いたが彼女の左手薬指には指輪が光っていた。——7&Y

*24:日本を元気にするのは、やはりお父さん。日常の何気ない風景を切り口鮮やかに描いた幸せのショート・ショート。本やタウン

*25:名手が描く珠玉の恋の短編集。収録作品 キュアメルのコートを私に・青い空のダイブ・タヒチアン・ダンスで会おう・おぼろ月・夜の虹・二人と犬の子・夜の街には、お砂糖がある「おぼろ月」居酒屋のバイト仲間同士の忘年会で、俺は最年長の春田センセにつかまってしまう。ひとり店では寡黙に浮いている感じのセンセだが、酔っているせいでゆるくなっているのだろうか?単純な好奇心でついていった俺だったが、春田センセの過去についての告白を聞き、その意外な別の顔を知る。——本当に人を愛したことがあるから、ほかのことは浮世の戯れでしかないのだろうか?酩酊した空気の中でふと真実に出会う、名作。7&Y

*26:幻の傑作、10年の時を経てついに単行本化!! 超巨編ハードボイルド、登場!;1997年6月。香港の中国返還という大変動を直前にひかえ、世界中の犯罪組織のあいだで生き残りをかけた激しい抗争が展開されていた。そのカギを握るのは、中国本土を経由し、香港からアメリカ国内に持ち込まれる「チャイナホワイト」と呼ばれるヘロイン。世界最大のヘロイン輸出湊の香港が、中国公安局の厳しい取締を受ければ、ヘロインの流通地図が一変する。そうした機に乗じて、「黄金の三角地帯」と「黄金の三日月地帯」という世界二大ケシ産地を抱えるユーラシア大陸をまたにかけて新たにヘロインビジネスを牛耳ろうとたくらむ謎の人物「ホワイトタイガー」が現われる。その動きを牽制しながら虎視眈々とビジネスチャンスをうかがう、ロシアマフィア、シチリアマフィア、中国マフィア、日本のヤクザ……。その野望を打ち砕くべく、熾烈な闘いのなかに果敢に身を投じていく、DEA(アメリカ麻薬取締局)のベリコフと厚生省麻薬取締官事務所の三崎——7&Y

*27:娘(37歳・独身・インテリアコーディネーター)vs 母(62歳・未亡人・パート勤務)自由に生きてきた娘の、一番の「支持者」だったはずの母は、実は、一番の「支配者」だった...!二人暮しの母・駒子と娘・沙良が繰り広げる、可笑しくて、ちょっと切ない家族小説。;インテリアコーディネーターの沙良(37歳)は独身、実家で母の駒子(62歳)と二人で暮らしている。父は七年前に亡くなり、弟は家を離れて一人暮らし。ある日、沙良が「会社を辞めてフリーになろうと考えている」と駒子に打ち明けると、それなら自宅を改築してオフィスを設立したら、と提案される。それぞれの思惑が一致し、「オフィス・サラ」はスタートした。新しい生活を、2人はそれぞれ楽しむが、沙良の男関係に駒子が口を出したり、駒子の実姉への癒着ぶりに沙良が苛立ったり、小さい軋轢は日常茶飯事。腹が立ちつつも家族ならではの曖昧な感情にくるまれてうやむやに…の繰り返し。そんな中、駒子が倒れ、入院する…。「オフィスはうちに、と母誘う」「なぜ別れるの、と母が泣く」「お墓を買おう、と母はしゃぐ」「孫がほしい、と母の目輝く」「ざまをみろ、と母笑う」「「理想の嫁」に母よろめく」の全6話 7&Y

*28:僕の彼女は連続殺人犯かもしれない——会社の同僚がつぎつぎと殺されていく連続殺人が発生。主人公の男は、自分の恋人が殺人犯ではないかという疑いを持つ。しかも、彼女は、さらに罪を重ねようとしているのだ。彼女を告発するべきなのだろうか!? 究極の選択と変則的恋愛、そしてトリッキーな本格推理!7&Y

*29:カッパノベルス50周年記念企画 「50」をキーワードに、思いがけない展開が描かれた人気シリーズの書下ろしアンソロジー大沢在昌宮部みゆき島田荘司綾辻行人道尾秀介森村誠一田中芳樹横山秀夫有栖川有栖氏ら豪華執筆者9人による、「50」という、たった一言のキーワードから広がる不思議な世界。ミステリの「万華鏡」。7&Y

*30:四日間の奇蹟』の著者が、頼朝・頼家・実朝ら鎌倉将軍家三代の闇に材を得て放つ幻想ロマン連作集。歴史小説の新機軸に挑んだ好著。本やタウン

*31:研修隊員として地球防衛軍「CREW GUYS」に配属されたハルザキ カナタは、父親を宇宙で亡くし、宇宙人とのコミュケーションに強い疑念を持っていた。そんな彼が、ある日驚くべき秘密を知ってしまう。「GUYS」にはウルトラマンメビウスが、人間に変身して所属していたのだ。——まったく新しい小説版「ウルトラマン」!7&Y

*32:探偵事務所に依頼された調査は、オンラインゲーム内での誘拐事件。高原が調査を進めると、実際にあった誘拐事件を忠実に模倣していることが判明する。ポップな私立探偵小説。公式

*33:出版界を瞠目させた読書日記シリーズ最新刊。今日も今日とて本を読みつつ、ラスベガスへ、アイルランドへ、そして鳥取へ、稀代の読書魔サクラバカズキは世界をめぐる!公式

*34:ある日タビーおばさんが屋敷を売りに出すって言いだした! 屋敷が売れるのを阻止しようとする、アラミンタの大作戦の顛末は? かわいくてキミワルーイ、シリーズ第1弾。公式

*35:隠退した心理学者ハリーの身辺に次々起こる異変。姿なき脅迫者の目的と、その正体は? マクロイが持てる技巧を総動員して読者を翻弄する、練達のサスペンス。待望の新訳。 公式

*36:恋、仕事、別れ。生きることは、選ぶこと。選ぶことは、悔やむこと――。あのとき、ああしていれば、今よりもずっといい人生だったかもしれない。そんなあなた史上、最大の分岐点。その瞬間から生き直させてあげましょう。「バク」が誘う二度目の人生の物語。公式

*37:大人気「しゃばけ」シリーズ戯作者、初エッセイ集ついに刊行! ファンタジー大賞〈受賞の言葉〉から、好きな本、映画、音楽のこと。師匠の思い出、中国満腹ツアー、さらに、ここでしか読めない書き下ろし随筆までてんこもり。「しゃばけ」ファン感涙、必携の一冊!公式

*38:話題作『雪冤』から半年。第29回横溝正史ミステリ大賞衝撃の受賞第1作!過失で人を殺めてしまった若宮忍は、誰かを巻き添えにして死のうと思っていた。彼はついに恩師の,娘を毒牙にかけ…。社会派推理の新星が紡ぐ心揺さぶ叙述ミステリの傑作!公式

*39:なんか疲れた。今すぐどこかに逃げ出したい――ため息とともに浮かんだ一言が、様々な人生を変えていく。失業寸前のサラリーマン、売れない脚本家、離婚を決めた主婦、不倫に疲れたOL……。青い海が白い砂浜に運んでくる小さな奇跡を詰め込んだ連作短編集。公式

*40:二・二六事件から間もない、昭和十二年の東京。前田侯爵邸の小間使として働くことになった十八歳の「わたし」は、五歳の令嬢・緑子の異変に気づく。少女は、見えるはずのない誰かの姿を見ていた――。歴史の放つ熱と濃密な虚構が融け合う、至高の物語。公式

*41:おしゃまな貴族のおてんば娘、ルウルウが繰り広げる日常の大冒険!薔薇十字社からの単行本刊行より三十余年、ついに待望の新装復刊。本文二色刷の豪華仕様。解説=中野翠/挿画=宇野亜喜良/装丁=名久井直子 公式

*42:「ねえ、何しに来たの? 海に」 逃避だよ――。日常から逸脱した旅の果てにあるものとは? 研ぎ澄まされた描写が光る、著者新境地の最新作!公式

*43:俺はスウェーデンで作られ日本に渡り、作家の伊作家に買われた。でかすぎて収まらない冷蔵庫だ。伊作夫婦が、幼き天才ヴァイオリニストを預かってから、この家の雲行きが怪しい。「才能」を巡るバトルが始まったのだ。公式

*44:〈〈ハイペリオン〉〈イリアム〉二大シリーズの 短篇を収録! 現代SF界最高の作家の作品集 ローカス賞受賞〉〈ハイペリオン〉シリーズの表題作、〈イリアム〉シリーズ前日譚、傑作超能力SFほか、オールジャンル作家シモンズの魅力を凝縮!公式

*45:各地を放浪し、物乞いや盗みを繰り返してきた少年キッド。十六歳のときにインディアン討伐の集団に拾われ、虐殺に次ぐ虐殺の日々に身を投じるが……。国境三部作、『ザ・ロード』著者の代表作。公式