傍聞き/長岡弘樹 

傍聞き

傍聞き

 最初の「迷い箱」は更正保護施設という、自分とは縁のないところでの話だったので、彼らの食事風景や生活態度が珍しくて、興味深く読んだ。が、あまり興味のない題材の場合、すんなり脳に達しなくて少々読みづらかった。
 最後の「迷走」は、救急隊員の話。これは良かった。脇腹を刺された男を乗せまま、救急車をぐるぐる走らせる意図は。意外なオチに感動する。