
- 作者: トム・ロブスミス,Tom Rob Smith,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/08/28
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普通に生活していた人が、隣人の密告により、ある日突然に死の強制収用所に連行される。餓死した人も含め、何千万人が命を落としたスターリン時代のソ連では、いつ反逆者やスパイとして逮捕されるか分からない。どんな非道な行為も正当化され、人間が人間として扱われない。では、犯罪は? この国家では連続殺人なぞあってはならないこと。それは資本主義にまみれた反逆者が起こすものだから。ゆえに警察はいらないのだ。したがって殺人鬼は自由に何人でも殺し続けることができた。
単なるミステリとしてではなく、あの時代のソ連の正体を垣間見た思いがした。苛烈な貧困もそうだし、劣悪な住環境もそうだし、誰でもスパイになりうる国家体制に吐き気を催すのだった。
とにかく夢中で読んだ一冊。
お薦め。