- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/10/23
- メディア: 単行本
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となれば、トリックに魅力を感じなければ、作品自体になんら魅力はない、ということ。容疑者はたったの一人。いかにしてトリックを使ったかということ。このトリックを見破れなければ我々は負ける。内海は直感で、草薙は心情的に。どちらも論理的ではないところが笑える。そこのところは、例によって湯川が考えてくれるのでどうということはない。
たった一つのトリックで勝負したことは本格ミステリとしては大いに評価できる。が、それにしては、このトリック一つで長丁場を乗り切るのは容易ではなかったようだ。何度も同じことを繰り返し話し合い、鑑定するのは冗長に感じるし、飽きる。要は、ネタが弱いために、話に深みがないのである。完全犯罪と言われれば、そうか、と肯きそうになったが、突っ込みたいところがいくつかあって、消化不良に終わった感じだった。
まあでも、そこは東野圭吾なのでそこそこ楽しめるのでは。