十三回忌/小島正樹 

十三回忌 (ミステリー・リーグ)

十三回忌 (ミステリー・リーグ)

 7月17日に決まって殺人事件が起きる。警察としても、犯人は家族の誰かだとしか思えないが、どうしてもアリバイが崩せないし、トリックに至っては不可能だとしか思えない。どうにもこうにも行き詰まって協力を求めたのが、刑事の友人で探偵をやっている、海老原浩一だった。
 奇抜なトリックも盛りだくさんの、本格ミステリとして良い作品。しかも非常に読みやすくサクサク進む。ただ、刑事がごちゃごちゃとたくさん出てくるため、誰に焦点を当てて読めばいいのか悩む。探偵役の海老原の登場でガラリと雰囲気も変わり、物語性も出てきて楽しめた。が、せっかくの登場も尻すぼみに終わったという感じで、残念だった。もうちょっと派手に活躍してくれると良かったのになあ。
 なので、読んでいるうちにもう、事件の謎を解いてやるというよりは、どんなトリックだったのか、ということだけしか考えられなかった。事件に纏わる背景としての物語を楽しむより、どうでもいいから早いとこ真犯人の名前を言っちゃって、という感じですか。