平台がおまちかね/大崎梢

平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)

平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)

 『配達あかずきん』が合わなかったので二度と読まないだろうと思っていたが、図書館の新刊本コーナーにあったので、どれどれと思って手に取ってみた。
 本の見返しを見たら、「自社本をたくさん売ってくれた書店を訪ねたら、何故か冷たくあしらわれ……、」とか「文学賞の贈呈式では、当日、会場に受賞者が現れない……!?」なんて書いてあるじゃないですか、へええ、面白そう、と思って借りてきた。
 ごめん、やっぱり合わなかった。
 出版社の新人営業マンの彼が、若いのにいい人すぎて出来すぎた感が否めなくて、どうせ強引に収めるんだろうな、と思ったら、途中経過がかったるくなってしまって、早いとこ日常の謎とやらを披露してくれないかなあと、ブチブチ文句を言いながら読んでいた。しかし、意外や意外、この謎の部分が良く出来ていたのには驚いた。ほろりとするところも随所に見られ、なるほど、これはハートフルな話が好きな人にはたまらないだろうと思った。
 ということで、大崎梢ファンの方にはオススメです。