告白/湊かなえ

告白

告白

 ここまで突き抜けて破滅的な話を書くことができた作者に、潔さと才能を感じる。読み始めたときの衝撃は凄まじかった。そして、のめり込むようにして読んだあとに残ったのは、放心だった。一番ムカつき、憤りを感じたのが、事件の引き金を作った男子生徒ではなく、愛娘を殺された女教師だったということ。それは女教師のラストでの言動にある。教師である前に母親であることを忘れてはいけないだろうに。
 いったいどうしてこんなことになってしまったのか。一度狂った歯車はもう元には戻れないのか。引き返すチャンスはいくらでもあったのに、思い込みの激しい馬鹿は後悔はしても反省はしないのか。そもそもこんな恐ろしい事件が起こったのは、いったい誰の責任なのか。やはり連鎖していく負の感情を止めることはできないのか。章を追うごとに破滅に向かっていくしかない各々の言い分には、納得はできなくても、目が離せなかった。
 お薦め。