いのちのパレード/恩田陸

いのちのパレード

いのちのパレード

 ★★☆
 恩田版異色作家短編集というところか。ホラー、ファンタジー、SF等、15編からなる短編集。
 最初の「観光旅行」で、ぞくぞくするほどの興奮を覚えたものの、だんだんとわたしの興味の対象から遠く離れていってしまい、読んでいても砂を噛んでいるような虚しさを味わってしまった。
 恩田陸は、情景描写が巧いので作者の狙いがこちらの興味の対象であれば、嵌って読めるのだが、遥か斜め上をいくような作品だと違和感ばかりが募って楽しめない。実験的にあれこれ試みるのは評価できても、まるで知らない作家のような作品ばかりでは落ち着いて読むことができないというところか。正直、異色作家短編集へのオマージュとしては、残念だが成功したとはいえない。