- 作者: 荻原浩
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/10/20
- メディア: 単行本
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あ、この短編集は好き。今回は面白く読んだ。
まったく期待していなかった荻原浩。この人のユーモア作品もシリアスな作品もことごとく肌に合わなくて好きじゃない。唯一絶賛したのが(感想は書いてないが)前作の短編集「千年樹」という、どんよりと暗い作品だけ。そんなアンチ荻原のわたしが非常に楽しんで読ませてもらった。
「スローライフ」という作品もあって、すぐに奥田英朗の「家日和」を思い浮かべてしまったのだが、やはりちょっと変わった人達がたくさん登場してくるところからして本の作りも似ていた。奥田から毒の部分を取り去った感じになるのだろうか。笑いのなかに人生の悲哀が感じられてほろっとなってしまった。
簡単なコメントを書いておきます。
- 「さよなら、そしてこんにちは」
葬式の最中、笑い上戸の葬儀屋は困る。だからいつも別のことを考える主人公なのだが、今回は産まれてくる我が子のこと。笑い上戸のキャラがふざけ過ぎた感があって、あ、今回も好きじゃないな、と思っていたら病院に駆けつけた主人公が待っていたのが○○○だったという、素晴らしさ。
- 「ビューティフルライフ」
ようし、やっぱり時代は農業だ。なんて、東京を離れて農園を経営しようとド田舎に引っ越していった一家。赤毛のアンに憧れていた主婦が遭遇したとんでもないアレやコレなんて、「もう、やだー」と思わせるもの。うんうん、わかるわかると思いながら笑ってしまった。オチにもほろっときたが、これが一番面白かった。
- 「美獣戦隊ナイトレンジャー」
小1の長男と赤ん坊の世話で一日が終わってしまう専業主婦の楽しみは、ヒーロー番組に登場する俳優と浮気(妄想)すること。ま、人それぞれだと思うけど、専業主婦の大変さはやってみなくてはきっと誰にもわからないと思うよ。うん。
- 「寿し辰のいちばん長い日」
美味しい寿司屋って、きっと色々と考えることがあるんだろうな。きっと、うん。
- 「長福寺のメリークリスマス」
うん、これは素敵な作品。とても暖かくて幸せな気持ちになって本を置けた。