株式会社ハピネス計画
平山瑞穂
小学館 2007-07-31
asin:4093877297
Amazonで詳細を見る
楽天で詳しく見る
★★★★☆
タイトルから想像して、これってどんなヘンテコリンな会社物語なんだろう、と思いながら読んだら、あらま、ちょっぴり変態チックな主人公(嘘)が妄想と幻想のなかでウロウロする話ぢゃないですか。なるほど。結婚目前で婚約者に逃げられ、会社もクビになって、悲惨このうえない主人公に「株式会社」とか「計画」なんていうお堅い言葉がキーワードになるわけがない。無職で暇にしていた主人公のところに、ロックスターになったという中学時代の友人が連絡してきて、自分の愛人&子供の世話をしてくれ、なんて話から始まるんだから、そりゃ荒唐無稽な話も出てくるというものだ。
良く言えばかなり自由奔放に、少々意地悪く言えば何を書きたかったのかわからないくらいに無茶苦茶に筆を進めているのが気に入った。出だしから“言葉”に執着した究極的な可笑しさは、声に出して笑えるくらい面白かったし、周りのぶっとんだ人たちの愛らしさもいい。中盤、少々中だるみして目蓋が重くなってきたが、そもそも幻想を抱いて妄想にふけっている主人公が喋っているんだから、読んでいるこちらも朦朧となるのも仕方がないというところか。なんにせよ、終わりよければ全てよし、というエンディングで、綺麗に決まった。幸せ。