シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン/小路幸也

シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン
シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン
小路幸也

集英社 2007-05-25

asin:4087753778

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 ★★★★★
 これは凄い。どうしよ、泣きたくなるほど面白かった。実際泣いた。
 『東京バンドワゴン』で大好きになった堀田家のみんなにまた会えたよ。思わず頬がほろんでしまう。下町で古書店を営む四世代の大家族。相変わらずみんな元気だった。とくに79歳の三代目店主、勘一さんはバリッバリに元気でまだまだ現役だったし、大黒柱の風格があった。嬉しいねえ。
 大じいちゃんやじいちゃんがいる家庭なんて、そんなことドラマの世界だけだと思うのに、この本を読んじゃうと、それがまるで実際にご近所さんにいるよう思えるから不思議。きっと誰でも、こんな大家族のなかで生活してみたくなるんじゃないかな。わたしはずっと昔、楽しかった子供時代や子育てのときを思い出して幸せな気持ちになった。
 そんな優しさに溢れる堀田家には四季折々、さまざまな謎が舞い込んでくる。日常のあれやこれやを笑いながらのんびり読んでいると、なんだろう、と思うことが次々に出てくる。もうそれがわくわくと楽しくてページを捲る手が止まらない。この謎のどれもが魅力的で、伏線の張り方がとてもよく出来ていたのには吃驚してしまった。
 涙と笑いをぎゅっと詰め込んで、見事に大家族の素晴らしさを描き出している。堀田家の家族や、あるいは親しくしている人の秘密も明らかになってきて、ますます目が離せなくなってきた。次は誰のお話なんだろう。でも「LOVEだねぇ」は変わらずにあるよね。
 お薦め。

追記

 ところで、各章の初めに出てくる朝の食事風景ですが、誰のセリフか鉛筆で書いてみました。わからないのがいくつかありました。紺か青か、ちょっとわからなかったです。皆さんはお分かりになったでしょうか。こういうのを考えるのって、とても楽しいですよね。

 それと、前作『東京バンドワゴン』の感想はこちら

追記6/2

 コメントを頂いたのぽねこさんの感想はこちらです。