背の眼/道尾秀介

背の眼
背の眼
道尾秀介

幻冬舎 2005-01

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★★★★☆
 第5回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。らしいです。
 やや、これは面白かった。ホラサス出なのでホラーだと思ったのですが、がっつり本格ミステリでした。これをホラーとして読むと、なんじゃこりゃとなるのでご注意をば。ちっとも怖くないので。で、京極夏彦とどうのこうの皆さん仰っていましたが、ノープロブレムでした。登場人物の設定はもろだし、薀蓄はあったし、「へ!?」と思うシーンもあったし、おまけに冗長なところもあって、ありゃりゃ、と思わないわけではなかったですが、京極よりこの方ほうが若さがあって好きです。怪奇を超常現象だとして逃げないで、ロジックをもって伏線をきちんと収斂させていったのは見事でした。ま、でも最後のぐちゃぐちゃと説明していたところは……流しました。
 そういえば、このとき大賞を授賞したのは沼田まほかるの『九月が永遠に続けば』でしたね。これが滅法面白くて、他の作品を読もうとは思わなかったのが失敗でした。巻末の選評を読んだら綾辻行人が「『背の眼』は、沼田作品に比べると若書きゆえの拙さが目立つ。(中略)出版までに可能な限りの贅肉を削って枚数を減らす努力をすることを条件に、特別賞の授賞が決まった。」とあったので、ますます読む気をなくしてしまったというのもあります。で、スルーした作品は後ではほとんど読まないのですが、最近、道尾秀介は変に面白いので読破しようと思ってます。