ママの友達/新津きよみ

ママの友達
ママの友達
新津きよみ

光文社 2007-03-20

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★★★★★
 ある日、専業主婦の典子のもとへ30年ぶりに中学時代の交換日記が届く。4人で回していた日記だが、差出人はどうやらリーダー格のハセジュンこと長谷川淳子らしい。しかしテレビのニュースでは、淳子は他殺体で見つかったとのこと。一週間も前に殺された者が日記を送れるはずがない。典子は気にはなりながら、しかし、登校拒否をしている14歳の娘との関係がぎくしゃくしていて、こんな日記どころではなかった。
 主婦、シングルマザー、おばあちゃん、そして殺人の被害者となったかつての仲良しメンバーが、日記を間に当時と現在についてそれぞれ胸のうちを語ってゆく。ステレオタイプの者は一人もいないので、読んでいて、とにかく面白い。45歳でシングルマザーだったり、孫がいたりするのはそれほど珍しくはないかもしれないが、45歳のおばさんが赤ん坊を抱えてひぃひぃしながらも頑張っている姿とか、あるいはモラハラの話になるとグッときてしまう。PTAの話もあったり、また娘との悩みを担任に相談したりするところは現実的でついつい読むのに熱が入ってしまった。
 登校拒否の娘が言う。「ママって友達いるの?」「下の名前は?」「苗字じゃなくて、ファーストネーム
 「友達っていうのかな、それ」
 30年ぶりの交換日記が友達を連れてきてくれた。そんな話。ラストがとにかく素晴らしい。