冥王星パーティ/平山瑞穂

冥王星パーティ
冥王星パーティ
平山瑞穂

新潮社 2007-03-22

asin:4104722030

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★★★★★
 面白かった。面白かった。面白かった。そして、じんとくる男と女の話だった。
 美人だし、頭だって悪くないのに、男の趣味がダメダメな都築祥子と、文学オタクで絶対女にもてないと思い込んでいる鈍くさい男の桜川衛。こんな二人のちょっと変わった青春小説と言えばいいのか、どこまでも迷走していく姿が、笑っちゃうほど楽しい。
 第一章。思い込みが激しくて気の短い女の子と、妄想癖があって挙動が怪しいヤツの話。しかもそれが高校生の時となれば、ふとした拍子にすれ違ってしまうのもしょうがないのか。ああ、やっぱりそうくるか、とやきもきしながら読んでいくのだが、そりゃこんなヘンテコな二人だし、まっとうな恋愛になるはずがないと思うものの、とことん応援したくなってしまうのもしょうがない。
 第二章と第三章。祥子の大学時代のサークルの話と、桜川が証券会社で女の子と遊ぶ話が、それぞれの視点で語られる。若気の至りと片付けてしまうのは簡単だが、同じ過ちを繰り返してしまうのは傍で見ててももどかしくて、ああ、そんなことはダメだよ、って老婆心ながら言わずにはいられない。だけど、失敗しても失敗しても、人はへこたれないで先に進んでいくことができるんだってこと。そういうのはやっぱりいいね。変わった奴がたくさん出てきて楽しかったが、その中でも、とにかく祥子が素晴らしかった。祥子の大学の先輩、望月の強烈さも好きだったなあ。
 ぎっくり腰で安静にしとかなくちゃいけないのに、そんなことなんか忘れ去ってしまうくらい、読むのが止められなかった。終わりのほうに近づくにつれて、どれだけ悲しかったか。読んでる最中、ほんとに楽しかったなあ。もっともっと読みたいと思う本でした。「冥王星パーティ」というタイトルも装丁も素晴らしかった。
 お薦め。