フィッシュストーリー/伊坂幸太郎

フィッシュストーリーフィッシュストーリー
伊坂幸太郎

新潮社 2007-01-30

asin:4104596027


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★★★★☆
 短編4本。最初の「動物園のエンジン」を読んで、何が何だかちっとも分からなくて、「やっぱり伊坂はつまらん」と、ぶうぶう言ったのも束の間、次の「サクリファイス」でちらりと毒のあるところがものすごく面白くて、やっぱり黒澤が出てくる作品は当たり外れがないなと、「やっぱり伊坂は面白いじゃん!」と、はた迷惑にも大きな声を出して喚いちゃったですよ。次の表題作「フィッシュストーリー」も、これまた凝った作品で、次々に繋がっていく話がパズルを見るようで楽しかった。解散した売れないバンドが作った曲の中に、一分にもおよぶ無音部分が、巡りに巡って奇跡を起こす話。これも非常に好きな話。面白かった。最後の「ポテチ」は、しみじみとするいい話だが、天邪鬼なわたしはそれほどいい話を求めてないので読んでいても、ちょっと退屈。まあでも、綺麗に纏まった話だし、いい具合に余韻もあって、これはこれでいい話だと思う。ということで、結構好きな短篇集でした。