水銀虫/朱川湊人

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★★★★☆
 珠玉のホラー短篇集。
 全篇を通して、架空の虫が腕や首筋をぞわぞわと這い回るような錯覚。果たして実際のところ本当にそんなことがあるのだろうか。ふと、辺りを見回してみて、振り返ってみたり、思わず腕や首筋を掻いたりする登場人物たち。惚れ惚れするような端正な文章だと安心して読んでいると、いきなり落とし穴に落ちてしまう。一時も安心しちゃあダメだ。どんどん、どんどん、おぞましい気持ちが膨れ上がり、ラストでこれでもかと叩き落されてしまうのだった。ぐは。気色の悪さも最高潮に、思わず一気読み。
 オススメ。