絲的メイソウ/絲山秋子

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★★★★★
 こんちくしょう。さすが絲山秋子。面白すぎる。
 エッセイなんて好きでもなければ好んで読むものではないと常々思っているわたしだが、抜群の文章力を持つ絲山となれば好奇心も沸いてくるというものだ。
 好きな作家の日常を知るのはいつだって楽しい。それが卓越したしっとりとした文章を書く作家となれば普段何を考えて生活しているのか知りたいと思うのは当然だろう。美しい作品や面白い作品もあるが、変態小説も書く絲山秋子ならさぞかしさばけた日常を送っていたんじゃないかと思うのはこれまたしかり。
 とにかく言葉の一つ一つが嫉妬するぐらい過激で面白い。総合職の営業をしていたときの話から最近の恋の話まで話題はつきることがない。そのどれもが爆笑につぐ爆笑なのだ。そしてそのどれもにいちいち肯いてしまう。だからといって、ここまでわたしは変人じゃない。と、思う。奇人変人、結構なことじゃないか。こんな迷走っぷりなら大歓迎だ。
 これまで遥か昔、小学生の頃から、でこぽんちゃんって、変よねー、と言われ続けてきたわたしにして絲山秋子の変人っぷりには腰が引けそうになったのだが、彼女のビシっとした男気あふれる気風の良さには喝采を送りたい。心の中で絲山秋子サイコーと叫んだのはわたしだけではないだろう。
 オススメ。